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仙台短篇映画祭2011 9月17日(土)-19日(月・祝)
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サロン ド シネマ 報告!!
10月31日(土)にセントラル劇場にて行って参りました。
覆面上映!当日まで何が見れるかわからないこの上映会。
2作品前売り券には”常識のある方のご鑑賞は御遠慮ください”と書いてある~(笑)

上映作品は、サニ-千葉主演(千葉シンイチ時代)の「ウルフガイ 燃えよ狼男」!!

なんつーか...この時代の日本男子は『肉食』だったんだな~と(笑)
ピストルで肩を打たれても「据え膳」はおいしくいただく。翌日、ステーキ、みたいな。。。

もう、見てもらわないとあのすごさは説明できません!

終了後、興奮さめやらない(?)メンバーは、別のお客さんグループと合同で
飲み会しました。
映画の話だけで、あっという間に終電の時間になり、お名前もきかないまま
お別れしましたが、

次回は、11月7日(土)です!またお会いできるといいですね。

「時代劇な気がする」という委員長の予感はあたるのでしょうか?!

侯御期待!

11月7日はミーティング終了後に見に行きます。22:30からの回にいきますよ~。

ねなしぐさ
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サロン ド シネマ第3回
さあ、『ショートピース!仙台短篇映画祭』、開幕中です!
1日目、2日目のプログラムならびに交流会には、多くの方が足を運んでくださいました。ありがとうございます!
詳細なレポートは後ほど。
今回は、久しぶりのサロン・ド・シネマ更新です。
取り上げる映画は、仙台では6月に公開された『砂の影』。仙台短篇映画祭最終日に来場される甲斐田祐輔監督の作品です。
スタッフ3名のレビューを以下にUP!

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「死体のにおいを感じたかった」

面白かった。全編8ミリという野心に満ちた試みも頼もしく感じた。
役者もよかった。出てくる人、みんな狂いかけてて、かろうじて“こちら側”にとどまっている。だからこそ、江口のりこ扮する“向こう側”にいっちゃったヒロインのまわりでうろうろしているんだ、まるで腐乱していく死体のまわりを飛んでいる蝿のように。
甲斐田監督の作品をきちんと観るのは初めてだったけど、きっとこの作品はかなり、彼なりに“大衆”を意識して作られたものなんじゃないかと思う。
欲をいうならば、もう少し、臭いを感じたかった。ATGの作品は良いも悪いも関係なく、スクリーンから『汗』臭さとか『泥』臭さとか“体臭”をいやおうなしに漂ってくる。だから、忘れられないんだと思う。そういう映画がどんどん少なくなって、日本社会を反映するかのように映画界までもが無菌を良しとする世界になっていくのは、悲しいな。
それでも、この監督は、もっと観客の五感を刺激できる人だと期待している。
なんにせよ、作り手と直で作品について語り合えるのは、映画ファンにとっては『究極の贅沢』ですね。

ねなしぐさ
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この映画は儚い物語だと思った。主人公ユキエは婚約者との変わらない愛を求め、ユキエの同僚である真島も自分の理想の中のユキエを求め、それを手に入れようと、つなぎとめようとするけれど、全ては砂のように彼らの手からこぼれ落ちていく。そして、ユキエを見つめる私も、ユキエの執着や苦悩をこの目で確かめたい、理解したいと思ったが、彼女の存在はどこかつかみどころがなく、ついにはその心の奥には触れることができないまま、彼女の姿は消えてしまった。
この映画を貫くのは決定的な隔たりであり、それは私たちが日常の中でいつのまにか抱え込んでいるものでもあるのではないだろうか。あらゆることがすれ違っていくこの映画から浮かび上がる空しさや滑稽さをふと受け入れたとき、私をとりまく世界がいつもとは少し違って見えるような気がした。

ヨシダ
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「音の記憶」

8ミリフィル厶の宿命。それは、音が捉えられないという点だ。
かなり以前のことで、記憶と印象がいりまじり、曖昧になってしまった・それでいて忘れ難い経験がある。
その上映会は、地方の映画祭で賞を取った作品を、東京でお披露目するものだった。ある著名人がその作品を高く評価し、ちらしには彼のコメントが掲載され、若い監督とのトークも予定されていた。
上映後に登場したその人は、困惑気味に、そして少し憤った様子で監督に尋ねた。
「なぜアフレコにしたのか?私が支持したのは、アフレコにする前の君の作品だ。私は、今日の作品を支持できない。魅力が失われている。」
監督も、動揺した様子で答えた。
「アフレコにしたのは、ある人に、一部のセリフが不鮮明なのが残念だ、アフレコであればもっと良くなる、そう助言されたからです。自分自身も、アフレコにして良かったと思い、アフレコ版を今日上映しました。」
その後の会話は当然弾まず、言葉は拡散するばかりだった。観客たちは、比較すべきアフレコ前の作品を知らず、ただただ、重苦しい空気を感じるよりほかなかった。
その時から私は、映画における音のこわさを意識するようになった。

「砂の影」の音響を担当した菊池信之氏は、それらしい音・そこにあったはずの音の模倣を拒み、「そこにいた人が、聞いたであろう音」の再現を重要視している。そんな菊池氏によるアフレコは、リアルと虚構を自在に行き来する「砂の影」の魅力をさりげなく・それでいて確実に引き出している。

cma

※せんだいシネマバザールBLOG(http://cinemabazaar.seesaa.net/)に、菊池氏が、2007年10月、山形国際ドキュメンタリ-映画祭において行った音をめぐるレクチャーの内容の記事が掲載されています。ぜひご参照ください。

「音」を語る、その不敵な試み(その2)~山ドキュ武者修行ブログ10(せんだいシネマバザールBLOG)
http://cinemabazaar.seesaa.net/article/63519744.html
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“砂の影”
http://www.sunanokage.com/
監督:甲斐田祐輔
出演:江口のりこ、ARATA、米村亮太朗、矢吹春奈、光石研、山口美也子
撮影:たむらまさき
音響:菊池信之
音楽:渡邊琢磨
サロン ド シネマ第二回【後編】
たいへん遅くなりました~。
"There will be Blood"サロン ド シネマ第二回<最終章>でございます。

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見応えのある深い映画だと思ったけど、逆に深過ぎて、内容を理解、出来てない感じがした。少なくとも、私にとっては、一回、見ただけでは判らない感じだった。仮に十年後に見て、その時、少しでも、共感、出来れば、凄いと思う。そんな印象が残った作品だった。それから、ダニエル・デイ=ルイス扮する、ブレーンビューは、私が出会ったことのないタイプの人間だと思った。
“金の亡者”と言うには、情がある様な。かと言って、人間不信で、お金しか信じてない様な。欲望に忠実だけど、野蛮過ぎず、自己と他者の持つ悪意を的確に理解している不思議な孤独人。と言うのが私の印象。この人物を体現する、ダニエル・デイ=ルイスは、相変わらず、凄い役者さんだなと思った。昔、一時期、彼にハマって何本か作品を見たけど、今回、改めて、約十年ぶり位で、彼の演技を見ると、歳を重ねるごとに円熟されていく“質”の様なモノが感じられて、やっぱり凄い人だなと思った。彼の内から、溢れる“エネルギー”みたいなモノ感じるだけで、一見の価値はあると思う。“生きること”を、考えたいときに見ると良い作品の一つかも…と思った。
Kin
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ポール・トーマス・アンダーソンの作品は二作目でした。
マグノリアでみたいくつもの平行した物語が折合わさった群像劇から
打って変わってプレインビューという石油王の生き様に焦点を当
てた重く生々しい映画でした。
まるで血と骨の北野武を思い出すような迫力に圧巻。
そして気になったのはイーライという宣教師の存在。
双子の兄であるポールと混同してわかりにくいという話をよく聞
きますが、それよりも狂気と未熟さを同居させたイーライとう
キャラクターも印象に残る部分でした。
本作も完成度の高い映画だとは思ったが、私としては彼の重厚な
群像劇をもう一度見てみたいものだ。
山口
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他の皆さんがすでにいろいろお書きになっているだろうと思うので、
私は2点にしぼって、書こうと思います。
まず、鳥肌ものだったシーンについて。それは、ブレインビューが
偽弟と海辺で話している場面。血縁などにとらわれず、自己利益
だけを追求し生きてきた彼が一瞬、『家族』の絆にひとかけらの
期待をしていた時、目の前の、弟だと思っていた男が「赤の他人」
だったと気づく瞬間だ。ダニエル・デイ・リュイスの名演が
なければ、成り立たないであろうシーンである。
そして、HWの存在。ブレインビューは単なる極悪人ではない。
自己に存在する悪魔となんとか共存してきた人なのだ。
魂の奥底に湧き上がる石油の油脈のような悪の力に自分の魂を
売らないように、彼はHWの存在が必要だったのに、彼は自ら
『最後の砦』を手放してしまう。ラストで自分の身のほどもわ
きまえず、神の名を使い、私利私欲にまみれた小悪党イーライを
抹殺する瞬間のブレインビューと真っ黒なドロドロの石油が吹
き上がる場面とだぶる。人が悪魔に飲み込まれる瞬間と私たちは
対峙したのだ。
ねなしぐざ
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「なんなんだ、こいつは!」と観終えた直後は、主人公・プレインビュー
に対し怒りすら感じた。彼の行動が、ただただ理解することができな
かったからだ。石油のようにずっしりと重く、本能で行動する彼の生き方。
ひとりの人間の人生を、目の前に突きつけられ狼狽した。
石油についた炎のように、燃えながら生きる彼の姿が、美しくもあり、
同時に迂闊に近づけないような力を持っているように見えた。しかし、
プレインビューの炎は自分だけでは留まらず、彼の周りにいる人たちも、
次第に燃やしていく。息子H.W.は、自分が燃え尽きる前に彼の元を
去ってしまうが、宗教心や偽善といったもので厚く覆ったイーライの
魂ですら燃やし尽くしてしまう。
プレインビューの魂の炎がスクリーンを越えて、こちら側まで
燃やす勢いに、私の中の小さな火種が、燻ったままでいてほしい
と願うばかりである。
A
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次回は先日、開催されました「砂の影」の報告です。
MR.AOGPへバトンタッチです!
よろしく~。
salon de cinema 第2回報告【中篇】
おまたせしました!数名未提出の方の関係もあり(笑)
長さのバランスを考えまして、【中篇】を設けることにいたしました!
今回はちょっと硬派かも???
お楽しみあれ!

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PTAの新作は、予想をはるかに上回る大傑作!!!
ダニエル・デイ=ルイスをはじめとする役者たちが確かな力量で強烈にクセのあ
る人物を演じあげ、爆音と静寂の間を不意に振れ動く音響はジョニー・グリーン
ウッドの操る不協和音を孕んで観客の緊張が途切れることを許さない。
そして、もちろん、PTAの作家性も存分に発揮されている。巧妙さを増したス
トーリー・テリングとカメラ・ワークのテクニックは圧巻!
ストーリーを突如十数年ジャンプさせるような外連味の効いた演出も、登場人物
の感情の流れを断ち切らず決して野暮になっていない。
たとえば、デイ=ルイス演じるプレインヴューが、異母兄弟を名乗って現れた男
のさりげないひとことと酒場での泥酔した態度に、自分の弟ではないことを確信
して激怒するシーン。
直接心情を語るような余計なセリフは排してあるにも関わらず、ストーリーと演
技で緻密にプレインヴューの心情の流れを描き、作中では語られることのない、
プレインヴューの父親への憎しみ、また、酒と女に溺れることへの嫌悪と仕事に
かける情熱、息子への偏愛が、そこを大きな源泉にしていることを暗示して、観
客が想像力を介在させる余地を作っている。
やはり映画では詳しく描かれることのない、H.W.との離別の過程も、十数年間の
エピソードをばっさり切っているのに、ストーリーの流れを不自然にしていな
い。この、行間にうまく配置された、ふたつの父子の物語は、詳細に語られない
がゆえに、プレインヴューを動かす、不穏な「何か」が物語の裏側にあることを
観客に感じさせ、物語世界をふくよかなものにしている。
ラストシーンでは、己の才覚のみを信じて巨万の財産を築いた男と、カリスマに
なることを夢見て、いびつなファンタジー世界の存続を願う男、ふたりの大変人
のガチンコ一騎打ち!あまりの滑稽さに笑いながら観ていたら、突然ぞっとする
結末、そして、可笑しくもあまりに哀しいプレインヴューの最後のセリフが待っ
ていました。
こんな大傑作はそうそう現れません。もう一度映画館に観に行きます。

AOGP代表 鈴木直樹

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エンドロールのうしろに流れるコンチェルトとは関わりなく、物語の終
わりとともに深い安らぎを覚える映画でした。どんなに苦しい労働も、
不幸な事故も、善意などという重荷を背負わずに生きていけるのなら
ば、喜んで受けいれるべき人生の出来事なのだということを、深いシワ
に覆われた顔の片頬だけを引きつらせて笑うダニエルの表情を見ながら
思い出さずにはいられません。
それにしても、どうしてあれほどダニエルの顔の肌は硬そうなのでしょ
うか。人との絶交の意志を、昆虫のように外骨格として硬質化したので
はないかと思われるほどに彼の肌の質感は硬い。あらゆる汚れに染まる
手も、純朴そうな住民を説得するために流ちょうに語る口元も、生身の
人間のそれというよりは、なにか作り物のような硬さです。それに引き
替え、息子のH.Wの、そして狂気の青年イーライの肌は皮下の血
管が浮き出るようです。また、労働者の肌は砂や油、そして血にまみれ
ていること。登場したときから殺されることを予感させる弟の、かさつ
いて生気のない肌。
この映画に映る肌は、人間というもののありようを、人間という形をし
たものの表面としてさまざまに示しているように思われます。わずかに
しか役割を与えられていない女性達ですら、少女から老女まで一通りの
肌理を見いだすことができます。映画のなかに見るそれぞれの顔は、感
情の動きを表す表情ではなく、絵画のマチエール(画肌)のように、た
だそこに佇むだけで伝わる質感として何かを伝えてくるようです。

ナオハチ

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その時、ブラームスの旋律が高らかに響いた。美しいがどこか滑稽で、空恐し
い。心の隙にすっと入り込み、容赦なく切り込む。そんなブラームスの音楽が、
作品世界にぞっとするほどかみ合っていた。
ブラームスは不思議だ。学校の音楽室に飾られている姿は、気難しいドイツ人。
確かに彼は、交響曲を4曲しか残さない、こだわりの人・寡作の人であった。そ
れらはいずれも研ぎ澄まされて美しいが、たとえば一番は暗く思い予感を、二番
は天上の音楽とも言える甘美な安らぎをもたらす。いずれも、どこか浮世離れし
ているのだ。繰り返し聴くほどに味わいが深まり、ふと断片を耳にしただけで、
たちまち引き込まれてしまう威力がある。(ちなみに、誰もが口ずさめるであろ
うハンガリー舞曲や「ブラームスの子守唄」も彼の作品だ。)
石油を掘り進め、石油だけを手掛かりに生きていく主人公は、すべてを圧倒し、
駆逐する。宗教を手段にのしあがろうとする若者の小悪党ぶりが、彼との対比で
さらに薄っぺらに見える。物語が進むほどに、主人公のやり口に快哉し、若者を
軽蔑したくなるのはなぜだろうか。
彼は、比較の世界を生きていない。自分を他人と比べて優越感を持つことも、う
らやむこともない。蹴落とすことも、勿論ない。自分の進む道に、何か邪魔があ
れば例外なく取り除く、ただそれだけのことだ。振り向くことなく、深く深く進
むのみ。地上の光が届かなくなっても、手元を照らす明かりさえあればいい。広
い世の中ではなく、閉塞した底無しの世界を、分け入るようにして彼は生きてい
く。
やわな心をささくれ立たせる彼の存在は、ブラームスの音楽のように触れる者を
蝕む。けれども、それは彼の預かり知らぬことだ。今もなお彼は、地核に迫らん
ばかりに、地底を深く深く掘り進んでいるに違いない。

cma
~~~~
“there will be blood”
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:ダニエル・デイ=ルイス、ポール・ダノ
※アカデミー主演男優賞/撮影賞 受賞
(せんだいシネマバザール・ブログhttp://cinemabazaar.seesaa.net/ 掲載文を加筆
修正)
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次回こそ、最終回!
委員長&Aさんの原稿お待ちしてます(笑)


ねなしぐさ
第2回サロン ド シネマ報告
復活後、2回目の開催となりましたサロン ド シネマですが、
今回の演目(?)は"There will be Blood"でした。
もう少し軽いの~という声もありつつ、GW初日の”昭和の日”に
チネ・ラヴィータには10名の方々が集まっていただきました。
前もって、鑑賞済みで、語り合い飲み会のみ参加の方にも
感想文をいただいております。
そんなわけで、今回は前編後編に分けてのブログになります。
ネタばれ必至ですので、ご注意を!

***********************************************
2時間半、スクリーンにくぎ付けでした。「石油で成功した男の繁栄と転落」と
いう筋だけを追うなら、この映画の中で起きる事件は目新しいものはないと思い
ます。不慮の事故、裏切り、殺人・・・どれも「そりゃそうなるでしょう」とい
う展開。でも、映画の冒頭で不穏な音楽が始まりを告げるとき、噴出す石油が火
柱となって燃え上がる時、主人公ダニエルが荒涼とした土地にあの足で立つとき
、この映画は私の想像なんて及ばない底知れない何かを紡ぎ出すのです。この底
知れない何かこそが、私には監督ポール・トーマス・アンダーソンの力技に思え
ました。ありふれた話を、どうにも尋常ならざる世界に変えてしまう力。これま
でも彼の映画はその力で、私たちを唖然とさせ、同時に幸福感で満たしてきたと
思うのです。この「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」に至っては、彼の力技によ
って、私はどこか遠くへ投げ飛ばされたとでも言いましょうか。私はただただ圧
倒され、スクリーンの中での出来事を見つめ続けるしかありませんでした。それ
でも、見終えた今も、地底から湧く石油のように私の心にふつふつと湧き出るも
のを感じるとき、私はやっぱりこの映画を目の当たりにできた幸運を噛み締める
のです。
ヨシダ
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映画の冒頭、台詞がないままダニエル・デイ=ルイス演じる主人公ダニエル・
プレインビューが黙々とひとりで採掘をしている。この時点でこれまでの
ポール・トーマス・アンダーソン監督作品には見られないような、重く張り詰めた
空気を感じた。
 はたして、映画はレディオヘッドのギタリスト、ジョニー・グリーンウッドによる、
弦楽を中心とした不協和音が目立つスコアも相まって、次第に緊張感を増していく。
石油によってダニエル、そしてダニエルの周りの人間の人生が変わっていく様子は、
ただ重い印象を受けるばかりではなく、例えば教会でダニエルが洗礼を受ける
シーンの緊張感の高まりと、実際に行われている奇妙な懺悔行為の可笑しさの
ズレにはおもわず笑ってしまった(この可笑しさはなにか歪んでいるような気がするが)。
 しかし、映画の終盤、ダニエルの息子H.W.が成長し、この家から出て行く、と言うシーン。
ここからラストまでの息子、及び牧師イーライとの、それまで押さえ込まれていたものが
溢れて一気に流れ出てくるようなやりとりには圧倒された。そしてラストシーン、
映画が終わる瞬間にダニエルが呟く一言。
はたしてダニエルは何を得て、何を失ったのだろうか。

Soi
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映画館で映画を観たのは確か『誰も知らない』以来だったので、実に4年ぶり
くらいだろうか。しかも映画祭メンバー10人(くらいだったでしょうか?)で一
緒に観たのでなかなかない経験をさせていただきました。
 それにしても『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』はずっしりと重たく、考えさ
せる映画でした。ああいうふうに凶暴なくらいに主人公の心理や言動が表出する
映画は私好きです。
 しかしこの映画の主人公は従来の映画の主人公像とはちょっと趣が違うような
気がします。あまり英雄的な描き方はされてないし、感情移入させられるという
よりもむしろ客観的に観てしまうような気がします。私的には。逆にいえばもし
かしたらそれが作者の意図だったのかもしれませんが、この主人公(名前を忘れた
ので以下ダニエルと呼びます)を通して人間の心理の複雑さ、愚かさや当時の時代
に生きた人びとのありようが見えてくるようか気がします。
 私はこの映画に登場してくるダニエルとイーライという二人の人物の関係に非
常に興味を持ちました。二人はとても対象的に描かれていると思います。ときに
非情で汚いと思われるくらい自分の論理で生きているが、それでも自分の力で生
きているダニエル。一方イーライは宗教という権力を覆って自分の汚い部分を隠
し、しかも自分でそれに気づかずに生きている。しかし彼にとって信仰は本当の
意味での力ではなく、そのため自分に神はいないと思ったとき、自分の虚像を作
り上げていたすべてのものが消え、ただ弱い人間に戻らざるを得なかった。彼は
神父、または敬虔な信仰者という生き方から発生するであろう力を何も身につけ
てはいなかった。それは信仰深い何とかというおじいさん(土地を売らなかった人)
の堂々さとも対象的に描かれていると思います。
ただダニエルは違います。ライバルへの啖呵の吐き方、凶暴で激しくかわいそ
うになるくらい彼には他人への競争心と猜疑心に満ちています。形はとても美し
いとはいえませんが、それほどまでに彼には捨てられないプライドがあり、主人
公の人格を形成しているように思います。イーライから強制的に告白を促される
場面がありますが、あの大きな告白の叫びの中にさえ彼には宗教に支配されまい
というものを感じます。まるでイーライの恨みを逆手にとっているように。結果
ダニエルは最後にイーライという人間を覆っていた虚像の力をすべてひっぱがし
て丸裸にし、何よりも汚い虫のように殺します。それはある意味主人公の生き方
がイーライの生き方に勝利した瞬間であったかもしれませんが、そんな彼にはも
はや何も残っていないことが少し先の息子との別れのやりとりから分かります。
そこに主人公の生き方のかなしさと悲痛さを感じます。
以上、大分長ったらしくなりましたが、自分が映画から受けた印象を書いてみ
ました。細かく書いてみただけに「それちがうんじゃねーの?」というところも
あるかもしれませんが、みなさんの感想も楽しみです。
ズッキーニ
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タイトルとはうらはらに、ダニエルの血は流れない。
誰一人として彼の血を受け継ぐものはなく、その血はダニエルの中で完結する。
「すべておわった」とつぶやく彼の終わりは血の終わりでもあった。
競争心が強く誇大妄想の怪もあり、嫉妬深く残酷で、そのくせ不器用な愛情表現
しか出来ず孤独に怯える血は、幸か不幸か長い石油採掘の歴史の中で一瞬生き、
埋もれて終わる。ダニエルの血はその一瞬以外どこにも一滴たりとも残らない。
しかし成金にありがちな財産や名誉に固執する輩に比べ、一代で終わる彼の血は
どれだけ潔く美しいものだったかと思えたのは、映画を観てしばらく経ってからのこ
とで、そんな思いに行き着くとは自分でも想像ができなかった。
噴き出した石油と同時に燃え上がる炎は、まるでダニエルの叫び声のようだった。
なにかを吐き出すかのように激しく燃え上がる炎を、カメラは静かに眺めている
。少し離れたところで手を出すこともなくただ見守る、そこにはだれも触れてはなら
ないとでもいうように。うす水色の空につきだし燃える炎は激しく、しかしその空の色と
交わってどこか静寂で神聖なものにさえ思えた。やがてダニエル自らの指示により
沈静化される炎は、その後の彼の人生にも重なり、映画の中で最も美しい場面
として残っている。
奥田かえる
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ダニエル・デイ・ルイスの、演技と思わせない演技、演出、音楽…映画の中の
全ての要素によって、スクリーンに引きずり込まれていく様でした。
人間が欲によってここまで醜く、残酷な姿に(ある意味)成長ていくのかと
圧倒されました。また、そこから見え隠れする人間性(?)も感じられるところが
この映画の素晴らしい所だと思います。
端から眺めれば、ただの醜く残酷で欲にがんじからめになったちっぽけな男
にしか見えないけれど、その中身を覗いてみると、正に石油のように黒くて
ドロドロしていて、火をつけると、たちまち狂った様に燃え上がってしまう。
そんな深沼に、見る側はどんどんはまっていくんじゃないかと思います。
そして、そうした恐ろしい欲望と、私たちも常に隣り合わせなんじゃないかと
勝手に感じていました。
イーライやH.Wなど、周りの人間描写を観るのもとても面白かったです。
はるな
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以上、前編でした。
基本、提出順の掲載とされていただきましたが、
字数の関係で、後編にまわさせていただいた方、
ご了承くださいませ。

まだ提出されてない方を待って、次回、掲載いたします。

次回は、もちっと軽めのでいきましょう(笑)

ねなしぐさ

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