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仙台短篇映画祭2011 9月17日(土)-19日(月・祝)
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第2回サロン ド シネマ報告
復活後、2回目の開催となりましたサロン ド シネマですが、
今回の演目(?)は"There will be Blood"でした。
もう少し軽いの~という声もありつつ、GW初日の”昭和の日”に
チネ・ラヴィータには10名の方々が集まっていただきました。
前もって、鑑賞済みで、語り合い飲み会のみ参加の方にも
感想文をいただいております。
そんなわけで、今回は前編後編に分けてのブログになります。
ネタばれ必至ですので、ご注意を!

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2時間半、スクリーンにくぎ付けでした。「石油で成功した男の繁栄と転落」と
いう筋だけを追うなら、この映画の中で起きる事件は目新しいものはないと思い
ます。不慮の事故、裏切り、殺人・・・どれも「そりゃそうなるでしょう」とい
う展開。でも、映画の冒頭で不穏な音楽が始まりを告げるとき、噴出す石油が火
柱となって燃え上がる時、主人公ダニエルが荒涼とした土地にあの足で立つとき
、この映画は私の想像なんて及ばない底知れない何かを紡ぎ出すのです。この底
知れない何かこそが、私には監督ポール・トーマス・アンダーソンの力技に思え
ました。ありふれた話を、どうにも尋常ならざる世界に変えてしまう力。これま
でも彼の映画はその力で、私たちを唖然とさせ、同時に幸福感で満たしてきたと
思うのです。この「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」に至っては、彼の力技によ
って、私はどこか遠くへ投げ飛ばされたとでも言いましょうか。私はただただ圧
倒され、スクリーンの中での出来事を見つめ続けるしかありませんでした。それ
でも、見終えた今も、地底から湧く石油のように私の心にふつふつと湧き出るも
のを感じるとき、私はやっぱりこの映画を目の当たりにできた幸運を噛み締める
のです。
ヨシダ
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映画の冒頭、台詞がないままダニエル・デイ=ルイス演じる主人公ダニエル・
プレインビューが黙々とひとりで採掘をしている。この時点でこれまでの
ポール・トーマス・アンダーソン監督作品には見られないような、重く張り詰めた
空気を感じた。
 はたして、映画はレディオヘッドのギタリスト、ジョニー・グリーンウッドによる、
弦楽を中心とした不協和音が目立つスコアも相まって、次第に緊張感を増していく。
石油によってダニエル、そしてダニエルの周りの人間の人生が変わっていく様子は、
ただ重い印象を受けるばかりではなく、例えば教会でダニエルが洗礼を受ける
シーンの緊張感の高まりと、実際に行われている奇妙な懺悔行為の可笑しさの
ズレにはおもわず笑ってしまった(この可笑しさはなにか歪んでいるような気がするが)。
 しかし、映画の終盤、ダニエルの息子H.W.が成長し、この家から出て行く、と言うシーン。
ここからラストまでの息子、及び牧師イーライとの、それまで押さえ込まれていたものが
溢れて一気に流れ出てくるようなやりとりには圧倒された。そしてラストシーン、
映画が終わる瞬間にダニエルが呟く一言。
はたしてダニエルは何を得て、何を失ったのだろうか。

Soi
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映画館で映画を観たのは確か『誰も知らない』以来だったので、実に4年ぶり
くらいだろうか。しかも映画祭メンバー10人(くらいだったでしょうか?)で一
緒に観たのでなかなかない経験をさせていただきました。
 それにしても『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』はずっしりと重たく、考えさ
せる映画でした。ああいうふうに凶暴なくらいに主人公の心理や言動が表出する
映画は私好きです。
 しかしこの映画の主人公は従来の映画の主人公像とはちょっと趣が違うような
気がします。あまり英雄的な描き方はされてないし、感情移入させられるという
よりもむしろ客観的に観てしまうような気がします。私的には。逆にいえばもし
かしたらそれが作者の意図だったのかもしれませんが、この主人公(名前を忘れた
ので以下ダニエルと呼びます)を通して人間の心理の複雑さ、愚かさや当時の時代
に生きた人びとのありようが見えてくるようか気がします。
 私はこの映画に登場してくるダニエルとイーライという二人の人物の関係に非
常に興味を持ちました。二人はとても対象的に描かれていると思います。ときに
非情で汚いと思われるくらい自分の論理で生きているが、それでも自分の力で生
きているダニエル。一方イーライは宗教という権力を覆って自分の汚い部分を隠
し、しかも自分でそれに気づかずに生きている。しかし彼にとって信仰は本当の
意味での力ではなく、そのため自分に神はいないと思ったとき、自分の虚像を作
り上げていたすべてのものが消え、ただ弱い人間に戻らざるを得なかった。彼は
神父、または敬虔な信仰者という生き方から発生するであろう力を何も身につけ
てはいなかった。それは信仰深い何とかというおじいさん(土地を売らなかった人)
の堂々さとも対象的に描かれていると思います。
ただダニエルは違います。ライバルへの啖呵の吐き方、凶暴で激しくかわいそ
うになるくらい彼には他人への競争心と猜疑心に満ちています。形はとても美し
いとはいえませんが、それほどまでに彼には捨てられないプライドがあり、主人
公の人格を形成しているように思います。イーライから強制的に告白を促される
場面がありますが、あの大きな告白の叫びの中にさえ彼には宗教に支配されまい
というものを感じます。まるでイーライの恨みを逆手にとっているように。結果
ダニエルは最後にイーライという人間を覆っていた虚像の力をすべてひっぱがし
て丸裸にし、何よりも汚い虫のように殺します。それはある意味主人公の生き方
がイーライの生き方に勝利した瞬間であったかもしれませんが、そんな彼にはも
はや何も残っていないことが少し先の息子との別れのやりとりから分かります。
そこに主人公の生き方のかなしさと悲痛さを感じます。
以上、大分長ったらしくなりましたが、自分が映画から受けた印象を書いてみ
ました。細かく書いてみただけに「それちがうんじゃねーの?」というところも
あるかもしれませんが、みなさんの感想も楽しみです。
ズッキーニ
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タイトルとはうらはらに、ダニエルの血は流れない。
誰一人として彼の血を受け継ぐものはなく、その血はダニエルの中で完結する。
「すべておわった」とつぶやく彼の終わりは血の終わりでもあった。
競争心が強く誇大妄想の怪もあり、嫉妬深く残酷で、そのくせ不器用な愛情表現
しか出来ず孤独に怯える血は、幸か不幸か長い石油採掘の歴史の中で一瞬生き、
埋もれて終わる。ダニエルの血はその一瞬以外どこにも一滴たりとも残らない。
しかし成金にありがちな財産や名誉に固執する輩に比べ、一代で終わる彼の血は
どれだけ潔く美しいものだったかと思えたのは、映画を観てしばらく経ってからのこ
とで、そんな思いに行き着くとは自分でも想像ができなかった。
噴き出した石油と同時に燃え上がる炎は、まるでダニエルの叫び声のようだった。
なにかを吐き出すかのように激しく燃え上がる炎を、カメラは静かに眺めている
。少し離れたところで手を出すこともなくただ見守る、そこにはだれも触れてはなら
ないとでもいうように。うす水色の空につきだし燃える炎は激しく、しかしその空の色と
交わってどこか静寂で神聖なものにさえ思えた。やがてダニエル自らの指示により
沈静化される炎は、その後の彼の人生にも重なり、映画の中で最も美しい場面
として残っている。
奥田かえる
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ダニエル・デイ・ルイスの、演技と思わせない演技、演出、音楽…映画の中の
全ての要素によって、スクリーンに引きずり込まれていく様でした。
人間が欲によってここまで醜く、残酷な姿に(ある意味)成長ていくのかと
圧倒されました。また、そこから見え隠れする人間性(?)も感じられるところが
この映画の素晴らしい所だと思います。
端から眺めれば、ただの醜く残酷で欲にがんじからめになったちっぽけな男
にしか見えないけれど、その中身を覗いてみると、正に石油のように黒くて
ドロドロしていて、火をつけると、たちまち狂った様に燃え上がってしまう。
そんな深沼に、見る側はどんどんはまっていくんじゃないかと思います。
そして、そうした恐ろしい欲望と、私たちも常に隣り合わせなんじゃないかと
勝手に感じていました。
イーライやH.Wなど、周りの人間描写を観るのもとても面白かったです。
はるな
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以上、前編でした。
基本、提出順の掲載とされていただきましたが、
字数の関係で、後編にまわさせていただいた方、
ご了承くださいませ。

まだ提出されてない方を待って、次回、掲載いたします。

次回は、もちっと軽めのでいきましょう(笑)

ねなしぐさ

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