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仙台短篇映画祭2011 9月17日(土)-19日(月・祝)
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salon de cinema 第2回報告【中篇】
おまたせしました!数名未提出の方の関係もあり(笑)
長さのバランスを考えまして、【中篇】を設けることにいたしました!
今回はちょっと硬派かも???
お楽しみあれ!

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PTAの新作は、予想をはるかに上回る大傑作!!!
ダニエル・デイ=ルイスをはじめとする役者たちが確かな力量で強烈にクセのあ
る人物を演じあげ、爆音と静寂の間を不意に振れ動く音響はジョニー・グリーン
ウッドの操る不協和音を孕んで観客の緊張が途切れることを許さない。
そして、もちろん、PTAの作家性も存分に発揮されている。巧妙さを増したス
トーリー・テリングとカメラ・ワークのテクニックは圧巻!
ストーリーを突如十数年ジャンプさせるような外連味の効いた演出も、登場人物
の感情の流れを断ち切らず決して野暮になっていない。
たとえば、デイ=ルイス演じるプレインヴューが、異母兄弟を名乗って現れた男
のさりげないひとことと酒場での泥酔した態度に、自分の弟ではないことを確信
して激怒するシーン。
直接心情を語るような余計なセリフは排してあるにも関わらず、ストーリーと演
技で緻密にプレインヴューの心情の流れを描き、作中では語られることのない、
プレインヴューの父親への憎しみ、また、酒と女に溺れることへの嫌悪と仕事に
かける情熱、息子への偏愛が、そこを大きな源泉にしていることを暗示して、観
客が想像力を介在させる余地を作っている。
やはり映画では詳しく描かれることのない、H.W.との離別の過程も、十数年間の
エピソードをばっさり切っているのに、ストーリーの流れを不自然にしていな
い。この、行間にうまく配置された、ふたつの父子の物語は、詳細に語られない
がゆえに、プレインヴューを動かす、不穏な「何か」が物語の裏側にあることを
観客に感じさせ、物語世界をふくよかなものにしている。
ラストシーンでは、己の才覚のみを信じて巨万の財産を築いた男と、カリスマに
なることを夢見て、いびつなファンタジー世界の存続を願う男、ふたりの大変人
のガチンコ一騎打ち!あまりの滑稽さに笑いながら観ていたら、突然ぞっとする
結末、そして、可笑しくもあまりに哀しいプレインヴューの最後のセリフが待っ
ていました。
こんな大傑作はそうそう現れません。もう一度映画館に観に行きます。

AOGP代表 鈴木直樹

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エンドロールのうしろに流れるコンチェルトとは関わりなく、物語の終
わりとともに深い安らぎを覚える映画でした。どんなに苦しい労働も、
不幸な事故も、善意などという重荷を背負わずに生きていけるのなら
ば、喜んで受けいれるべき人生の出来事なのだということを、深いシワ
に覆われた顔の片頬だけを引きつらせて笑うダニエルの表情を見ながら
思い出さずにはいられません。
それにしても、どうしてあれほどダニエルの顔の肌は硬そうなのでしょ
うか。人との絶交の意志を、昆虫のように外骨格として硬質化したので
はないかと思われるほどに彼の肌の質感は硬い。あらゆる汚れに染まる
手も、純朴そうな住民を説得するために流ちょうに語る口元も、生身の
人間のそれというよりは、なにか作り物のような硬さです。それに引き
替え、息子のH.Wの、そして狂気の青年イーライの肌は皮下の血
管が浮き出るようです。また、労働者の肌は砂や油、そして血にまみれ
ていること。登場したときから殺されることを予感させる弟の、かさつ
いて生気のない肌。
この映画に映る肌は、人間というもののありようを、人間という形をし
たものの表面としてさまざまに示しているように思われます。わずかに
しか役割を与えられていない女性達ですら、少女から老女まで一通りの
肌理を見いだすことができます。映画のなかに見るそれぞれの顔は、感
情の動きを表す表情ではなく、絵画のマチエール(画肌)のように、た
だそこに佇むだけで伝わる質感として何かを伝えてくるようです。

ナオハチ

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その時、ブラームスの旋律が高らかに響いた。美しいがどこか滑稽で、空恐し
い。心の隙にすっと入り込み、容赦なく切り込む。そんなブラームスの音楽が、
作品世界にぞっとするほどかみ合っていた。
ブラームスは不思議だ。学校の音楽室に飾られている姿は、気難しいドイツ人。
確かに彼は、交響曲を4曲しか残さない、こだわりの人・寡作の人であった。そ
れらはいずれも研ぎ澄まされて美しいが、たとえば一番は暗く思い予感を、二番
は天上の音楽とも言える甘美な安らぎをもたらす。いずれも、どこか浮世離れし
ているのだ。繰り返し聴くほどに味わいが深まり、ふと断片を耳にしただけで、
たちまち引き込まれてしまう威力がある。(ちなみに、誰もが口ずさめるであろ
うハンガリー舞曲や「ブラームスの子守唄」も彼の作品だ。)
石油を掘り進め、石油だけを手掛かりに生きていく主人公は、すべてを圧倒し、
駆逐する。宗教を手段にのしあがろうとする若者の小悪党ぶりが、彼との対比で
さらに薄っぺらに見える。物語が進むほどに、主人公のやり口に快哉し、若者を
軽蔑したくなるのはなぜだろうか。
彼は、比較の世界を生きていない。自分を他人と比べて優越感を持つことも、う
らやむこともない。蹴落とすことも、勿論ない。自分の進む道に、何か邪魔があ
れば例外なく取り除く、ただそれだけのことだ。振り向くことなく、深く深く進
むのみ。地上の光が届かなくなっても、手元を照らす明かりさえあればいい。広
い世の中ではなく、閉塞した底無しの世界を、分け入るようにして彼は生きてい
く。
やわな心をささくれ立たせる彼の存在は、ブラームスの音楽のように触れる者を
蝕む。けれども、それは彼の預かり知らぬことだ。今もなお彼は、地核に迫らん
ばかりに、地底を深く深く掘り進んでいるに違いない。

cma
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“there will be blood”
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:ダニエル・デイ=ルイス、ポール・ダノ
※アカデミー主演男優賞/撮影賞 受賞
(せんだいシネマバザール・ブログhttp://cinemabazaar.seesaa.net/ 掲載文を加筆
修正)
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次回こそ、最終回!
委員長&Aさんの原稿お待ちしてます(笑)


ねなしぐさ
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