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仙台短篇映画祭2011 9月17日(土)-19日(月・祝)
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プログラムL(永遠の異邦人~&村山教室体験入学!)の経緯
今思うととても危なっかしい話ですが、映画をそんなにも観ていないし、映画に関する知識もあまりない私が、自分でドキュメンタリー映画のプログラムを持ちたいと思ったその動機には、ただ漠然と「作り手の考え方や映画作りにおける葛藤が見えてくるプログラムにしたい」という気持ちがありました。スタッフの中には覚えている人もいるかもしれませんが、はじまりは本当にそんなものでした。
 「映画作りにおける葛藤」・・・一体どうすればこれを観客に伝えられ、多くの人と共有することができるのか。結構難しい問題です。あんまり堅苦しいものには自分もしたくないし、考えてみれば誰のどんな作品を取り上げても葛藤には行き着くし、何を今さら・・・と思いつつ、スタッフ間の応答を重ね、出来上がったのが現在のプログラムです。

 
今回作品上映で取り上げる土本典昭監督・福田克彦監督は、それぞれ水俣・三里塚(プログラムLのページに注釈あり)を終生追い続けた人物です。どちらも社会性のみが強調されて取り上げられがちだった時代に、現地の人びとに真摯に向き合い、互いの交流の中に生まれる関係に立脚しながらものごとを考え続けてきた人物です。
 この二人の監督の映画作りは、決して第三者的な報道の立場に身を置くのではなく、徹底して対象の側に身を置くことで人びとの声に耳を傾け、その思いを汲み取ろうとしたところに映画史上の重要な意味があると思います。メディアによって流布される固定化されたイメージを日常の視点から捉え返し、現地に生きる人びとの論理を描こうとした映画作りのスタンスは、それまでのドキュメンタリー映画の製作のあり方を見直す大きな転機であったといえるのではないでしょうか。
 これら水俣・三里塚の一連の作品群に象徴されるように、作り手と対象との関係のあり方が作品の根幹をなすドキュメンタリーにおいては、その信頼をいかにして深められるかが非常に重要となってきます。そうした対象となる人びとのことを敬い、現実から愚直に学ぼうとする姿勢は、今も変わらぬドキュメンタリストの大事な資質ですが、そこでは同時に現実を冷徹に見つめる作家としてのまなざしを持つことも必要となってきます。
 対象に寄り添い、ときに加担しながらも、その関係の中に埋没するのではなく、いかにものごとを引いた目線で捉え、作家として表現するか。その意味でドキュメンタリストとは対象にとって“異邦人”ともいえる存在なのであり、その特殊な関係性の中で揺らぎ、葛藤するのがドキュメンタリストの業なのかもしれません。
 土本典昭監督・福田克彦監督を今回取り上げたいと思った理由はそこにあります。この二人の監督は、おそらく生涯をかけて水俣と三里塚を追い続ける中で、このドキュメンタリストとしての業と格闘し続けたのでないかと私は思います。プログラム名「永遠の異邦人~」には、実は企画者のそうした意味が込められています。今回上映する作品は二人の監督の数ある作品の中のごく一部ではありますが、そうしたことにも思いを馳せながら観ていただけると幸いです。

 また作品上映の関連企画であるドキュメンタリー映画史特別講座では、ドキュメンタリー映画史を分かりやすく紐解きながら作品上映の味わいを深めつつ、現在進行中のドキュメンタリー映画界の議論までを扱う内容となっています。
 ドキュメンタリー映画というと、一般的にはいわゆるフィクション映画とは対照にあるノンフィクション映画、またはありのままの事実を記録したものとして理解されがちですが、その記録と表現をめぐっての議論は実にバラエティに富んでおり、こうした議論は映像を主とした表現分野をはじめ、フィールドワークなどを通して現実の事象を扱うさまざまな学問分野にも共有できるものがあると私は思っています。
 せっかくの映画祭という機会なのだから、映画に関心のある人はもちろんのこと、さまざまな目的を持った人たちに足を運んでもらいたい。今回はたまたまドキュメンタリー映画というものを一つのきっかけに、そうした人たちが集まり、互いの分野に対する関心を高め、刺激を与え合うような場を作りたい。講座を設けたいと思ったのはそんな理由からです。そこには10月に行われる山形国際ドキュメンタリー映画祭への流れを作りたいという思いもありました。
 そうした主旨のもと、現在のドキュメンタリー映画界を体系的に牽引する存在である村山匡一郎さんに講師をお願いしたところ、快く承諾してくださいました。それ以降現在のドキュメンタリー映画界の個性豊かな作品を知る手がかりとして、山形国際ドキュメンタリー映画祭に資料展示のご協力をお願いしたり、各方面の大学の研究室等に講座のご案内を送付するなどして現在に至っています。
 こうして「映画の学校」という映画祭全体のテーマのもと、偉大なドキュメンタリストの姿勢に学びつつ、ゲストとの深い交流を通して一緒に何かを共有し合うという二本柱のプログラムが出来上がったわけですが、それも全て関係者のみなさまの温かいご協力無くしては出来上がらなかったと思います。講師の村山匡一郎さんをはじめ、企画に賛同してくださった土本典昭・福田克彦監督の両監督夫人、10月に映画祭を控え、お忙しい中協力してくださった山形国際ドキュメンタリー映画祭のみなさま、そしてなにより周りがよく見えていない私をときに叱り(またしてもこんな長い文章をかく始末・・・)、応援してくれた仙台短篇映画祭の仲間たち、この場をお借りして厚く感謝申し上げます。(←ちょっと、まだ終わってないぞ・・・。)

 こんな感じでプログラムLは9月22日(火)に行われます。プログラムに先立ち、関連資料の展示も映画祭期間中行っております。村山匡一郎さんによるドキュメンタリー映画史特別講座もまだまだ参加者募集中です。講座参加希望の方は詳細をご確認の上、こちらのアドレスまでご連絡いただけると幸いです。→ info@shortpiece.com (講座は17:30終了予定ですので、エドワード・ヤンのプログラムをご覧になりたい方はご注意ください。)
 それではみなさん映画祭でまたお会いしましょう!!(我妻和樹)
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