shortpiece!blog
仙台短篇映画祭2011 9月17日(土)-19日(月・祝)
201705<<123456789101112131415161718192021222324252627282930>>201707
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--/--/--(--) --:--:--| スポンサー広告| トラックバック(-) コメント(-)
「ある日どこかで」についてのこと
MOVIX利府で上映中の「ある日どこかで」を観賞しました。
これは午前十時の映画祭の中の一本です。

この作品は「アラビアのロレンス」や「2001年宇宙の旅」のような大作でもなければ、
「男と女」や「ローマの休日」のように小さくとも有名な物語ではありません。
50本のなかではかなり慎ましやかな部類の作品に入ります。


http://asa10.eiga.com/cinema/06.html
1980年製作。アメリカ作品。
リチャード・マシスン(「激突!」の原作・脚本を書いた人)の原作・脚本。
主演はクリストファー・リーヴ(いわずと知れた「スーパーマン」)
女優はジェーン・シーモア(「007/死ぬのは奴らだ」のボンドガール)


1980年、クリストファー・リーヴ演じる脚本家の青年リチャードが
湖畔のグランドホテルの史料館に展示されていた約70年前の女優の写真に一目惚れし、
"そのときの"彼女に会いたい一心で「今は1912年・・・」と自己暗示をかけ念じ続け、
SF的な機械も超能力も使わずに"想いだけ"でタイムスリップを成功させ、
過去1912年でその人・エリーズと出会い、愛を・・・という話。


これだけ書くとトンでもない話に聞こえますが、
これほど美しく、心を掴む映画もそうそうありません。

50本のラインナップにそのタイトルを見つけてから楽しみにしていた作品でした。
ある本の批評でこの映画を知り、即座に観賞して以来、忘れ難き一本となりました。
つまりDVDでしか見てない作品を、初めてスクリーンで観賞したわけです。

ある人は「人間ドラマこそを大画面で観るべきだ」と言いました。
その通り、テレビの画面で観ていたときとは比較にならないほどに、多くのことを感じます。
リーヴとシーモア、その瞳の輝き、伝い落ちる涙、僅かな微笑みがはっきりと温もりを持って伝わる。
テレビのスピーカーでは感じきれない、感情の隅々に行き渡る旋律のジョン・バリーの音楽の体感。
うっすらと別世界へのフィルターがかけられたかの様にこちらを包み込む様な映像。

丁寧に語られ紡がれるそれら数多くの情報が染みわたっていくにつれ、
昔の服を纏い現代の物を一切排除し懐中時計を握り締め念じ続けるリチャードの、
タイムマシンを開発するより遥かに説得力に欠ける奇妙な時間旅行に魅了され、
エリーズとリチャードが初めて会ったとき、「あなたなの?」「ええ・・・」と、
一見すると文脈上不自然な台詞や辻褄の合わない部分がありながら、
しかしそれらを感情の渦や強引な勢いで力技で捻じ伏せるのではなく、
静かに静かにそれらが重なり合うことで魔法としての真実が完成する"映画の嘘(マジック)"。

同じくリーヴが恋人への愛だけで時を超える「スーパーマン」とはエライ違いです。

さらに、映画は何度も観ると新しいことを感じる様になります。
冒頭で晩年のエリーズは、時を超える前の、自分を知らないリチャードに会い、
"帰って来てね"とそっと先述の懐中時計を彼の掌に握らせその手を包みこみます。
その後、帰路での無言の彼女の表情、仕草のひとつひとつは、
一度観賞した後ならばより一層訴えてくるものがあります。
懐中時計もまた、時を想いを繋ぐファクターでありガジェットと分かり感慨も生まれます。
そして自分自身の環境や考えが変化したときも、新たなものを感じるでしょう。


1980年の発表当時はふるわず、数週間程度で公開打ち切りだったそうです。
しかし、口伝いに評価する声はゆっくり広がり今日に至るまで、
深く静かにしかし確実にファンを生み、愛されていった様です。
午前十時の映画祭の50本を決める人達の中にも。
そして利府の劇場でもこの映画を観る人が沢山いました。それは嬉しいことです。

24日で終了してしまうこの美しい映画を、皆様もどうぞご覧ください。
そして静かにゆっくりと語り継いでいきましょう。


(TH)
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
copyright © 2004 Powered By FC2 allrights reserved
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。