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仙台短篇映画祭2011 9月17日(土)-19日(月・祝)
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ラッパーの旅は続く(入江悠監督「SR3サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」)
これで終わりじゃないだろ!
画面が暗転しエンドロールが流れた瞬間、切実にそう感じた。このシリーズ、ここで終われない。終わってもらっては困る。3本目にして、すっかりSRクルーに取り込まれてしまったようだ。
パッとしない主人公(たち)が、周りからバカにされながらも、本人たちなりに楽しく一生懸命に、時には困難にぶち当たりながら日々を過ごす。物語として、とてもなじみやすい設定だ。私たちは、彼らに自分や身近な人を重ね、「バカだなあ」と笑ったり、「そうだ、いけ!」と喝采したり、「明日から自分もがんばろう」と励みを受ける。
…しかし。物語と違い、人生は幕切れがなく、毎日毎日続いていく。山場も結末も見えないままに。そんな日々の傍らに、続いていく物語がある、というのは得難いことだと思う。
今回のSRは、音楽で一旗揚げると上京したマイティーパート=続けることの息苦しさと、サイタマに残ったイックとトムパート=続けることの楽しさがくっきりと対を成す。映画全体が、ラップバトルのように、相対するリズムを刻み、メッセージを放つ。長回しされる雨の中の逃亡シーンは、雨の冷たさや足の重たさが体感され、ぞくぞくした。数ある映画の中でも、特筆すべき逃亡シーンと言える。何と痛々しく、切実な逃亡だろう。一方、相変わらずのサイタマの二人「SHO-GUNG」は、栃木でラッパー仲間「征夷大将軍」と出会い、将軍つながりで意気投合し、気勢を上げる。彼らのラップは、回を重ねるごとに明らかにレベルアップしている。「1」の会議室ではやぶれかぶれに牙を剥いたが、今回は余裕さえ感じられ、痛々しい以上に爽快だった。
このシリーズのポイントは、サイタマ、「2」の群馬、今回の栃木…という場の設定にもあると思う。カッコ悪く生き生きとした青春映画に、北関東の空気はよく似合う。近くて遠い(日帰りできても終電時刻は油断ならない距離)都会への憧れとおそれ。地方出身であることの気後れと、根っこがあることへの秘かなプライド。その入り雑じり方が絶妙だ。乾いた空気とぽっかりした空。その下に広がる畑と立ち並ぶ平屋の量販店。何にもないのか、何でもありなのか。どっちつかずで中途半端。それでいて・だからこそ、先の読めない面白さが隠れている。だいたい、マイティーを強いたげる東京のラップグループ「極悪鳥」も、実は中野区鷺ノ宮出身。都内とはいえ都会とは言い難い地域出であるところが、彼らの矮小さを引き立てていて可笑しい。(都会ではない都内都市は確かに終電が遅い。けれども、それは私鉄の企業努力に過ぎない。…私鉄が通っていないのが田舎の証拠、と負け惜しみが聞こえそうだが。)
すべてが絡まりうねりを生む祭の夜、そして祭のあとに繰り広げられる、観客のいないラップバトル。…つくづく、映画と音楽の底力を、肌で痛いほどに感じられる快作だ。入江監督の貯金を切り崩し、実家に合宿して完成させたインディペンデントの真骨頂は、「やりたいことをやる」という潔さと力強さに溢れている。泥臭くカッコ悪いSR魂は、大量に垂れ流されるハデでキレイな「話題の超大作」群を凌駕し、寄せ付けない。
エンドロールのバックに映し出される彼らのソウルフード・ブロ(ッコリー)の瑞々しさに癒されつつも…望む、続篇!

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「SR3サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」2012年、日本
監督・脚本、編集:入江悠撮影:三村和弘
音楽:岩崎太整
出演:奥野瑛太、駒木根隆介、水澤紳吾、北村昭博、永澤俊矢、美保純

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※仙台では、七夕7日よりチネ・ラヴィータで公開となった「SR3」。初日舞台あいさつによると、「1」の会議室シーン、実は仙台短篇映画祭企画上映会での入江監督自身の体験がベース…だそうです。あわわ。そんな体験を乗り越え、映画祭の宣伝もしていただき感謝です。
皆さん、ぜひお見逃しなく! 雨をはねのけ、劇場へ走れ!

cma
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