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仙台短篇映画祭2011 9月17日(土)-19日(月・祝)
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育児と映画~共犯者に、救い はいらない(リン・ラ ムジー監督「少年は残酷な弓を射る 」の巻)※チラシ設置情報つき※
映画祭のチラシを置いていただいているフォーラム仙台にて上映中。
予告で待ちきれなくなり原作本→映画、と味わいましたが、映画→原作本、がお勧めです。イメージの広がりを、より楽しめるかと思います。
(※映画祭ちらしは、堺雅人さんの背後にひっそりあります。是非堺さんの後ろに回り込んでみてください!)

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冒頭から、否応なしに引き込まれる。
赤と白がごちゃ混ぜになった異様な世界。カメラはゆっくりと混沌に近寄っていく。蠢く白いものは肉の塊…ではなく、半裸の老若男女だ。では赤は?彼らは血まみれで苦悶しているのか?…と思いきや。様々な顔がクローズアップされ、彼らは狂乱し、恍惚としていると分かる。どうやら、スペイン・バレンシア地方の収穫祭、トマト祭りのひとこまらしい。群集の中には、一際この刹那を謳歌していヒロイン・エヴァがいる。これが人生の絶頂期であると、当時の彼女は知るよしもない。
原作は上下2巻でかなりのボリューム。それを無理なく2時間に収めており、監督との好相性もあって、幸運な映画化と言える。一方で、物足りなさも残る。特に、父親の存在。原作では、子煩悩な自分に酔い、妻も子も理解しようとせずに溝を深める典型的にダメな父親だった。そんなつまらない分かりやすさが排除されている点はいいが、もう一声、と欲を言いたくなる。せっかく曲者俳優ジョン・C・ライリーを起用しているのだから、存在が薄いだけではない父親として、物語に波紋を投げ掛けてほしかった。
自転車に乗れるようになったり友達になったりするのと違って、親になるには意識的なものが必要だ。言葉を発しない、なぜ泣くのかわからない幼子を相手にするには、いつもいつも自然体、ではもたない。(むしろ、テンション高め、がちょうどよい。)そして、親子は互いを選べない。自分でよいのだろうか、という不安や恐れは、頭の隅にいつもある。気持ちが揺れているときに子に話しかけると、素っ気なくすれば悪い親、優しくしても「よい親」を演じているような居心地の悪さを感じてしまう。そんな後ろ暗い気持ちまで、子は察しているのではないか、と思うとさらにやりきれない。わかっているよ、それでもいいよ、とでもいうように、健気な笑顔を見せられると、なおのこと。
そんな「演技」を拒んだエヴァとケヴィン。相反し、青い火花を散らしながらも共犯者的な関係を深めていく。そんな緊張感が、ラストで一気にほぐれるのは、個人的には残念だ。最後まで彼らを・観る者を突き放し、淡々と語り抜くのが、この物語にふさわしかったのではないか。エヴァほどではないにせよ、語り始めた以上、観る者に対しても刃を突き立てる気概がほしかった。
また、高校での惨劇にまつわる日本語字幕にも、若干の疑問がある。大写しになる体育館のドアに手書きの貼り紙があり、「individual」にアンダーラインが引かれている。これは、ケヴィンが「個性的・特殊な能力に秀でた生徒を表彰するための最終選考会」として被害者たちを誘き出したことを示していると思われる。貼り紙の内容を字幕で示せば、彼が無差別殺人をしたのではないと伝わったはずだ。
さらに、ふと思ったこと。日本でリメイクするなら、迷わずケヴィンは染谷将太。不敵さはもちろん、黒目部分の多さも通じるものがある。ティルダ・スウィントンに匹敵する、絶叫や激情に流れない母親は…たとえば、黒木瞳か。ちょっと、いや是非とも観てみたい。他人事で終わらせるには、この物語はあまりにも生々しく、痛々しいのだから。

cma
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「少年は残酷な弓を射る」:We Need to Talk About Kevin、2011年、イギリス
監督:リン・ラムジー
原作:ライオネル・シュライバー
音楽:ジョニー・グリーンウッド
出演:ティルダ・スウィントン、ジョン・C・ライリー、エズラ・ミラー
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